【ステップ6】目標にすべき利回りとアクティブファンド
投資を始める方の中には
「投資の勉強には時間を費やしたくないなあ」
「利回りは3〜5%で良いから、とにかくリスクを減らしたいな」
という方もいるかもしれません。
しかし、そんな方でも年利7%は目標にしてください。
そして基礎知識くらいは(あるいはそれ以上のリテラシーを)身につけたいという方は、長期投資が上手くいっているかいないかの指標を年利7%にしてください。
イギリスやアメリカでは、忙しくて自分の資産の運用状況を四半期に一回しか確認しないような方でも、年利7%以下だとそれほど上手くいっていない、改善が必要だと考えます。
では、なぜ7%が大事なのでしょうか?
世界で最も多くの人が投資をしているインデックス、アメリカのS&P500の2000年から2020年までの平均利回りは6.4%でした。
これは2008年のリーマンショックの下落を含めた数字で、2001年から2021年で見ると年利は9%を超えてきます。(2010年から2020年だと年利10%を超えてきます。)
これらの数字から間をとって、年利7%を長期投資の成功のボーダーラインとするのです。
そんなS&P500発祥の国・アメリカの国民は、世界で最も投資で資産を増やしている人々ですが、個人投資家の多くはそれほど勉強しているわけではありません。
にもかかわらず、大勢の人が資産を増やし、ゆとりのある生活と優雅な老後を送れるのには理由があります。
ひとつには、仕事を引退した後の年金は、国に頼るのではなく自分の力で作らなければならないという、自由と自己責任の文化が根付いていることが挙げられます。
二つめは、「ビッグ・テック」としても知られるGoogle・Amazon・Facebook・Apple・Microsoftなどを筆頭に、いつも新しいサービスを世界で生み出してきたのはアメリカの会社であり、自分たちの国が世界で最も経済成長するはずだと信じているという点があります。だから、自国のインデックスに投資をすれば必ず勝てると考えているわけです。
しかし、我々日本人が自国のインデックスに投資をするのは慎重に判断したいところです。
なんせ、日経平均株価の2000年から2020年までの平均利回りは、たったの1.3%。
日本は先進国のうちで最も銀行預金での資産保有率が高い国ですが、その全く増えない銀行預金をS&P500に投資していれば、過去20年間の間、平均して毎年7%以上の利回りを得ることができたわけです。
いかがでしょうか?
アメリカのインデックスに投資をしていれば、誰でも7%は出せると言う事実を知ったならば、もう少しだけ知恵を絞って、10%以上、15%以上を目指してみたいと思えてきませんか?
そのためにはインデックスファンドだけではなく、アクティブファンドについて理解しなければなりません。
アクティブファンド
さてここでようやくインデックスファンドと対をなす、アクティブファンドについての解説に入ります。かといってこれが6つのステップの唯一無二の回答と言うわけではありません。
アクティブファンド、ここでようやく投資信託の項目で話した、ファンドマネージャーと言うプロフェッショナルが出てきます。(プロだからといってすごいなんて,そんなに思わないでください)
証券会社がファンドをつくります。そしてファンドマネージャーを雇います。それは自社からの抜擢かもしれませんし他社からの引き抜きかもしれません。そうやって雇われマネージャーは、ファンドで利益を出すという目的のため働きます。
しかしアクティブファンドのマネージャーが目的としているのは、「何が何でも利益を出す」と言うことではありません。厳密に言うとベンチマークを越える利益を出すということになります。
初めてベンチマークと言う言葉を出してしまったかもしれません。しかし皆さんは既にもう知っています。インデックスのことです。アクティブファンドにおいて、それが投資家にうちはどこのインデックスを超えることを目標にしている、と表示するときにのみ、インデックスはベンチマークと呼ばれます。超えなければならない指標を、投資前の投資家に提示する義務がアクティブファンドにはあります。
そして面白いのがファンドマネージャーのボーナス体系です。日本のファンドマネージャーたちは海外よりも低く、平均して1200万円程度しか基本給をもらっていないと思いますが、この上にこの年収と同じ位のボーナスがつきます。もちろん彼らが実力を発揮して、ベンチマークを超えた運用を実現した場合にですが、なので年収が倍になるかどうかのところで彼らは必死に毎日頭をひねっています。
じゃぁこれだけ頭を使っている人たちにお金を任せればいいんじゃないかと皆様思うかもしれません。しかしアクティブファンドにおいては、ベンチマークを超えると言う目的しかマネージャーたちには課されていないことが、アクティブファンドの問題だと私は考えます。
例えば2008年のリーマンショックの時、日経平均は一年で−50パーセントを記録しました。このとき日経平均をベンチマークとしているファンドマネージャーの心境といえば以下のようなものです。
「これは歴史的な事件だ。大仰天だ。多くの人が資産を大量に失うだろう。しかし日経平均はマイナス50%だから、僕はお客さんの資産を−40%に止めれば10,000,000円のボーナスがもらえる」
こんなところです(笑
300
そしてなんと、ボーナスを得るためにやる事はベンチマークを超えることそれだけなのに、統計からですが、ベンチマークを超えられているアクティブファンドのマネージャーは、毎年実に30%しかいないのです。
表)売れているファンドがリターンが高く、シャープレシオが良いというわけではない!!
ファンドマネージャーがいることにより、インデックスファンドの3倍から4倍の手数料がアクティブファンドにはかかります。にもかかわらずインデックスファンドよりも成績が悪いと言うのは、投資損以外の何者でもありません。
だから、アクティブファンドを買うときには以下の点に気をつけなければなりません。
1あらゆるインデックスがベンチマークとなります。なのでまず気をつけていただきたいのが、日経225のような、元から利回りの低いインデックスをベンチマークとしているファンドを買わないことです。ベンチマークを超えても当然高い利回りは狙えません。
2 10年といった長期的なスパンで、ベンチマークを超えているアクティブファンドを選びましょう。
3おさらいになってしまいますが、そのアクティブファンドがベンチマークを超えるのに必要としたボラティティ(リスク)を見てみましょう。いくらリターンが越えていても、ベンチマークよりかなり高いボラティティを費やしてリターンを達成しているアクティブファンドは要注意です。逆にベンチマークと同じ、あるいはそれより低いボラティリティーで、ベンチマークのリターンを超えているアクティブファンドも少数ですがあります!!(これを調べるのはそれほど簡単ではありません。弊社を含めた分析者にどうかご相談ください)
いかがでしたでしょうか。この項目を持って、長期投資基礎編を終えさせていただきます。投資信託、ファンドについてはもっともっと深く広く話すことができます。例えば基礎編では、皆さんがいちどは聞いたことがあるかもしれないヘッジファンドと言うものについて、説明する必要がないと私は判断しました。
同氏は、勉強すれば勉強するだけで楽しくなり、楽しめば楽しむほど利益がついてくるものです。
皆様が私と一緒に楽しんで学ぶ習慣を身に付けてもらえるのを、そして投資と言う世界に対する優しい行為によって、人生に必要な資金に一切不安を感じない生活を送っていただけることを心から祈っています。