長期投資成功のための6つのステップ

【ステップ5】これを理解せずに投資をしてはいけない『リスクとシャープレシオ』

 

リスクとは何でしょうか?
ハイリスク・ハイリターンなどと多くの人がよく口にしている、あのリスクです。
しかし、投資以外でも、比喩として使う場合でもその意味を勘違いされている方がほとんどです

以前、私がとあるファンドを顧客に提案した際に

「二宮さん、これ過去10年間平均年利が15%出ているって書いてありますが、一年間の利益がマイナスになることはないんでしょうか?ないんでしょうか?」

と迫られました。
この方は、リスク=危険性だと、日本語で直訳して勘違いされていたのでしょうね。

リスクとは英米の金融工学から来た概念で、正しく日本語に直すと不確定性になります。

 では不確定性とはどういうことなのでしょうか?

下はS&P500の過去 年のチャートです。
過去年間 で毎年約 %のリターンが出ていますね。
しかし、平均すると%というだけで、毎年 %を出して図の緑色の破線のように一直線のチャートを作っているわけではありません。
実際に、 %以上でた年もあれば、- %以上下落した年もあるわけです。

一言で言うと、この場合リスクとは、 %という最終的なリターンを出すのに、どれぐらいの不安定さを要したかを意味すると同時に、今後同じリターンを出せる確率はどれくらいなのか、を表します。

金融工学におけるリスクは、統計学から引用された概念なので、利益=リターンと同じようにしっかりと数字で表すことができます。

例えば、下のS&P500についてはリターン91.67%に対してリスク %という形で、表示されていますよね。(ハイリスク、ミドルリターンと言えます)

 もしS&P500と同じリターンを、半分のリスク %で運用しているファンドがあれば、そちらの方が来年も同じリターンをだす確率が高く優れていると言うことができますし、
同じリスク %で倍のリターンを出すファンドがあればやはり優れていると言うことができます。

 そしてリスクは、ファンドの運用実績の書面上では標準偏差(standard deviation)、ボラティリティ(volatility)と表示されていることがほとんどなので、この二つの呼び名も憶えておいてください、

また、このS&P500を例に取ると、来年の予測リターンは %+上下に %をたして、 ~ の間に納まる確率が68%、 リスクの二倍を上下に足した ~ の間に納まる確率95%ということを意味します。

なぜこのような確率になるのかと言うと、そもそもこのような確率で予測できるように統計学で決められたのがリスクの値なのです。

ついで、ではないですが、リスクと一緒に『シャープレシオ』も憶えてしまいましょう。

これはリスクを元にしてできた用語ですが、リスクよりも重要だと言えます。
というより、投資のリスクを考慮することは、シャープレシオを考慮することとほとんど同じことなのです。

リスクとは、ある利益(リターン)を出すために必要になってしまったチャート上のぶれ幅、不確定性のことでしたよね。それらリスクとリターンの比重について人々は、ローリスク・ミドルリターンなどと呼んだりするわけですが、それらロー、ミドル、ハイなど、どこからどこまでをそう呼んでいいのかわからない曖昧な言葉を使うのではなく、一つの数字でその比重を明確に表すのがシャープレシオです

0.64、とか1.22という小数点第2までの数字で、シャープレシオが表すことはとてもシンプルな計算になります。そのファンドがある一定の期間に出したリターンをリスクで割ったものです。つまりリターン/リスクという計算をするとシャープレシオが算出されるわけです。

 ですから、シャープレシオが1未満ということは、リターンを出すのにより大きなリスクを出してしまっているということになります。例えばシャープレシオが0.5のものは倍のリスクをかけていることを意味します。シャープレシオ0.5前後の運用を私は長期投資では絶対にお勧めしません。

 シャープレシオは高いに越したことはありません。しかし、シャープレシオ2、つまりリターンを出すのにその半分のリスクしか使っていないファンドを見つけるのは、相当困難、というよりもほとんどありません。特に10%以上のリターンを出しているファンドにおいて、2はまずありえない数字です。

 ではどれくらいのシャープレシオを目標にすればよいか。それは1です。10%を長期的に出しているファンドではリターン=リスクの運用で十分に優秀だと言うことができます。もちろん1.5などより高いものがあればそれに越したことはありませんが、1以上のものを探すのでも相当骨を折ると経験からお話しさせていただきます。

  例えばこちらは、日本で最も売れているひふみ投資の過去の運用実績になります。大きな利益を出しているのに10平均のシャープレシオ1.13はさすがですね。と言いたいところですが、去年1年のコロナバブルの数字を見てください。リターン47.12%に対して、シャープレシオ3.84、去年はどこも皆このような爆発的な数字を上げました。この成績が含まれての10年平均になるので過信は禁物です。

期間 3ヶ月 6ヶ月 1年 3年 5年 10年
リターン 4.15%
(801位)
12.59%
(851位)
47.12%
(477位)
7.21%
(352位)
13.17%
(154位)
17.21%
(29位)
標準偏差 9.01
(379位)
11.81
(43位)
12.26
(20位)
17.60
(178位)
15.26
(129位)
15.26
(13位)
シャープレシオ 0.46
(672位)
1.07
(622位)
3.84
(112位)
0.41
(279位)
0.87
(47位)
1.13
(11位)

(minkabu.comより)

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